すきできらい
ママは面白い。
面白いと思われるように頑張ろうとしてる時は面白くない。
ママが面白いと思うものは世の中の人にとって面白くないからだ。(といっても、ママの周りの世の中って、我々家族くらいしかいないが)
ママが頑張ろうとすると、芸能人の不倫についてや、近所に住んでいる友達のメロンちゃん(犬)の話くらいしか出来なくなる。スピード感と声量以外に取り柄がない、聞いていて疲れるマイクパフォーマンスになる。
頑張ってない時のママは面白い。
飼ってる猫を褒めている時とか、オナラしながら歩いてるときとか。なんかふとした瞬間だけ面白い。
やっぱり猫を撫でてる時のママが一番面白い気がする。ねこにゃん!ねこたん!にゃんたん!と表記揺れが激しい名前で呼ぶ。愛を猛烈に込めて。
にゃんたん!にゃんたんはね、かわいい😍!から、すき。ながいきしてね〜。
かわいいからすき。
裏返すととんでもないことになる。
かわいくないものは嫌いなのだ。いやまぁ私もそうだけど。私が完全に大人になったとき。かわいくなくなった子供をどう思うんだ。恐ろしい。愛してください、お母さん。
ママにはおばあちゃんがいた。
ママのおばあちゃんは分かりやすく恐ろしい人で、ママの敵だ。
おばあちゃんは夫が死んですぐ死んだ。おばあちゃんはある日、寂しいと電話をかけてきたらしい。おばあちゃんは夫の不満をたくさん言っていたらしく、死んだ後に好きだったぶるなんて!とママはご立腹だった。
好きな相手にも嫌な部分があるとか、好きじゃない人でも話してくれて嬉しいとか。そういう心の動きがママはわからない、ように見える。
分からないことが多いママは生きづらいらしく、夫を亡くした老婆とか、伝染病から救われた老いぼれとか、氷河期を生み出した社会とか。とにかくいろんなものを、寝っ転がりながら批判している。
ママと話すのは疲れる。
夫を亡くした老婆の話をなんでしたんだと言う感じだから時を戻そう。
ママが若い頃、覚醒剤で捕まってしまう前の若者が歌のおにいさんをしていた頃。
老婆はおにいさんを歌のおにいさんとして顔がダメだと力説したらしい。
やっぱ孫と祖母だなぁ。